anyadraの日常

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理不尽

また1つ年をとってしまった。人生とは理不尽なもので、私のように何もできなかった人間も勝ちまくって最年少三冠を成し遂げた藤井聡太も消費する時間は平等に1年なのである。

 

それでもこの1年で私はこれまでの自分に欠けていたあるとても大事な視点を得られたのは必ず今後の人生にプラスになると確信している。そう、理不尽についてだ。

 

まず理不尽の辞書的な意味を述べておくと、道理に合わないこと、様子である。さすがに理不尽という言葉の意味くらいは分かって使ってるに決まってるだろ、そう多くの人間に言われてしまいそうだ。

 

だが人間は愚かな都合の良い動物なので自分が不利益を被る理不尽にしか目を向けない、いや向けることができないのだ、意識することなしには。もちろんこんなことを偉そうに書いてる私も例外ではない。

 

人間は良いことが起こると自分の努力や才能に、悪いことは不運や理不尽にその原因を求めたがるものだ。

 

だがここで先ほど述べた理不尽という言葉の辞書的な意味をもう一度思い出してほしい。“道理に合わないこと”であったなと。これは果たして悪いことばかりであろうか?

 

もちろん答えはNOだ。ただ人間は理不尽に良いことが起きてもそれを決して理不尽だと叫んだりはしないだけに過ぎない。

 

もちろん人生に理不尽はつきものだしそのせいで嫌な思いをすることも無数にある。しかし悪いことが起こった時だけ自らの行いを省みることもなく理不尽だと言い訳してばかりでは理不尽に良いことが起きて大きなチャンスを迎えたとしてもそれを生かす実力がないせいで自ら手放してしまうという大失態を犯してしまうのではないだろうか。

 

私もひたすらに将棋だけやってれば人生勝てるというぬるい考えを持っていたガキの頃は勝つのは実力、負けるのも実力、勝負の世界に理不尽などあるはずはないしあってはならない、そう思っていた。確かに将棋は完全情報ゲームであるから盤上に理不尽などあるはずがない。そう、“盤上”には。

 

私は勝負における盤外の要素の重要性を軽視してしまっていたのかもしれない。盤外戦術といえば大山康晴だが、そこまで露骨なものでなくても例えばこの対局に勝てば優勝だとかこの相手には過去に一度も勝ったことがない嫌な相手だとかいうような盤外の要素も人間同士の将棋の盤上には少なからず影響してしまうし、そして時としてそれは理不尽なことを起こしてしまうのだ。

 

振り返ると私も理不尽によって全国大会に出て勝ちまくったりともちろん良い思いも何度もさせてもらっているが、私の前にことごとく立ちはだかるライバルがいたり毎度安定して上位に勝ち上がりながらことごとく何かと大きなもののかかった対局で負けてしまったりと理不尽によって苦しい思いをしたことは数え切れない。

 

だがそもそも人生は理不尽なものだ、いや生きていることが理不尽なのだ。私のような別に何の強者でもない人間が。

 

もしこの世界に理不尽がなければ私は理に従ってこの世に生まれることはなかったかもしれないし生まれたとしても既に死んでいたかもしれない。でもそんな理不尽のない世界で戦うことは本当に幸せなことなのだろうか?

 

もう言いたいことはお分かりだろう、理不尽があるから我々は幸せを掴めるのだ。そして我々にできることは理不尽による上振れを引いたときに幸せを掴めるように日頃から備えておく、ただそれだけなのである。

 

この大切なことに私が気付くきっかけを与えたのは間違いなく麻雀であろう。麻雀という理不尽がもはや当たり前のように起こるゲーム、世界を知ったことは私の考え方にとてつもなく大きな影響を与えた。

 

そしてそんな理不尽が当たり前の世界でも強者は理不尽に振り回されることなく淡々とやるべきことを貫き試行回数を無限に近づけて理不尽による上振れや下振れを収束させていこうとしていることが分かったが、それは言うは易く行うは難しであることを現在進行形で痛感しているところだ。まだ私には技術的にも精神的にも伸びしろがいくらでもあるしそこを日々伸ばしていかなければならないと思っている。

 

このブログは誕生日を記念して書いているのだが、本来昇段記念に書くつもりだった内容を昇段できずに書いてしまっている。これは少し残念なことだが、所詮年を取ったり1年が終わったりするのは1つの節目でしかない。人生は一本の線になって繋がっていると考えれば特に気にすることでもないであろう。

 

とはいえこの1年では一度も昇段できなかったのだから次の1年で二度昇段するのを目標にするのは悪くないしこの1年は昇段してもすぐに叩き落とされることなく生き残っていける力をつけるための1年だったと前向きに考えよう。そしてこれからも日々少しずつ成長しながら理不尽の海を渡っていく、そう決意して筆を置こう。